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ホーム >  構造工学研究室 >  研究テーマ|Theme >  既設構造物における構造性能予測手法の構築

既設構造物における構造性能予測手法の構築


既設構造物の多くは経年劣化により,補修や補強が必要な状況にあります.劣化の機構と劣化が構造性能に及ぼす影響の一部については数多くの研究成果により明らかにされつつありますが,多数の劣化因子により引き起こされる複合劣化については完全に解明されておらず,既設構造物における構造性能を予測する手法の構築には至っていないのが現状です.構造物をより安心かつ安全に使用していくために,これら複合劣化機構の解明と複合劣化が構造性能に及ぼす影響を明らかにするとともに,補修や補強の効果と劣化の影響を反映した構造性能予測手法の構築を目指しています.

FRPシートにより補強された既設RC構造部材におけるせん断耐力予測モデルの構築

鉄筋コンクリート(RC)部材において脆性的な破壊形態であるせん断破壊は避けるべき破壊形態の一つです.せん断に関する数多くの研究が行われてきましたが,コンクリート部材のせん断問題はその現象の複雑さゆえに,耐力の予測は実験的な知見に基づいて行われているのが現状です.一方,RC部材の耐荷機構として「アーチ機構」と「ビーム機構」が存在することが知られていますが,これまで,この概念が耐力の予測に用いられることはありませんでした.当研究室では「アーチ機構」と「ビーム機構」の概念に基づき部材の耐力を理論的に予測する手法の構築に成功しています.この手法により,補修や補強の効果と劣化の影響を反映したせん断耐力予測手法の合理化を目指しています.
参考文献

  • 山田雄太:FRP シートによりせん断補強されたRC は り部材に対するせん断耐荷機構の耐力予測モデルの 拡張,コンクリート工学年次論文集,Vol.44, No.2, pp.871-876, 2022.7.

  • 山田雄太:斜めひび割れ経路上の応力伝達を考慮したRCはりのせん断抵抗機構におけるビーム機構の耐力予測式構築,土木学会論文集E2,Vol. 76,No.4,pp.386-402,2020.12.(doi: 10.2208/jscejmcs.76.4_386 )

  • 山田雄太:ひずみエネルギに基づく種々の荷重状態に適用可能なRC はり部材におけるせん断耐荷機構分解手法の提案,コンクリート工学年次論文集,Nol.42, No.2, pp.559-564, 2020.7.

  • Yamada, Y.: Effect of crack path on shear load carrying mechanism of RC beams, Proceedings of the 8th CECAR, a11_2873353, pp.1-13, 2019.4.

  • 山田雄太:せん断補強筋のない RCはりのせん断抵抗機構に基づく繰返し載荷後の残存せん断耐力と破壊形態に及ぼす作用荷重の影響に関する一考察,土木学会第75回年次学術講演会講演概要集,V-644, 2020.9.

  • 山田雄太:RCはりのせん断耐荷機構におけるビーム機構の耐力予測式構築に関する試案,土木学会第73回年次学術講演会講演概要集,第Ⅴ部門, pp. 1007-1008, 2018.8.

劣化した構造部材における耐荷機構の解明

参考文献

  • 浅川奈美:ASRの局所化がRC部材の構造性能へ及ぼす影響,日本大学理工学研究科修士論文,2021.3.

  • 山田雄太,千々和伸浩,岩波光保:鉄筋腐食ひび割れを生じたRCはりのせん断疲労耐荷機構に及ぼすせん断補強筋の影響,土木学会論文集E2, Vol.74, No.3, pp.176-191, 2018.8.(doi: 10.2208/jscejmcs.74.176)

  • 山田雄太,千々和伸浩,岩波光保:引張主鉄筋に沿う人工損傷の長さがせん断補強筋の無いRCはりの疲労耐荷機構に及ぼす影響,土木学会論文集E2, Vol.73, No.3, pp.323-336, 2017.8.(doi: 10.2208/jscejmcs.73.323)