既設構造物の多くは経年劣化により,補修や補強が必要な状況にあります.劣化の機構と劣化が構造性能に及ぼす影響の一部については数多くの研究成果により明らかにされつつありますが,多数の劣化因子により引き起こされる複合劣化については完全に解明されておらず,既設構造物における構造性能を予測する手法の構築には至っていないのが現状です.構造物をより安心かつ安全に使用していくために,これら複合劣化機構の解明と複合劣化が構造性能に及ぼす影響を明らかにするとともに,補修や補強の効果と劣化の影響を反映した構造性能予測手法の構築を目指しています.